はじめてのロードバイク

ロードバイク(ツール・ド・フランス)
ロードバイク(ツール・ド・フランス)

 これから初めてロードバイクに乗ってみようという方、初めての購入を検討されている方、どのように選べばいいかわからないという方が多いと思います。まずは「ロードバイク」とは何ぞや、というところから簡単に説明させていただきます。

 

 ツール・ド・フランスに代表される、舗装路(時には石畳だったり)を長距離速く走るレース用の自転車がいわゆる「ロードバイク」です。特徴は速く走るための「細いタイヤ」と、いろいろなポジションをとれる「ドロップハンドル」、速く走るために不要なものを排除した「軽量でシンプルな構造」が主にあげられます。また変速ギアがついており、フロント2段xリア10段または11段というのが現在の主流です。最近では変速システムが電動で操作できるものもあります。プロ選手が使用する最新の機材はカーボン素材をふんだんに使い、総重量が7kgを下回ります。

 ロードバイクに似ていて少しジャンルが違うものに、究極のエアロ形状を追求したタイムトライアル競技専用の「TTバイク」、シングルギアでブレーキの付いていないトラック競技専用の「ピストバイク」、ドロップハンドルにブロックタイヤを装備したオフロード競技で使用する「シクロクロス」などがあります。

 

 どんなロードバイクを買うのかは、まず自分がどのように乗り方・使い方をするのかを思い浮かべてみてください。通勤や通学で毎日乗るのか、とにかく遠くまで長い距離を乗ってみたいのか、レースやイベントなんかにも参加してみたいとか、用途によってもある程度絞り込むことができます。そしてもちろん予算があると思いますので、価格帯で絞り込むというのも一つの方法です。

フレーム素材

 まずロードバイクを選ぶ上での第一関門が「フレーム素材」を何にするかです。今や主流はカーボンなので、初めての方にもカーボンフレームがオススメですが、予算的に厳しいならアルミフレームか、スリムな形状のクロモリフレームを選択するのも悪くないと思います。ただ、「カーボンはすぐ割れちゃうんじゃないか」と心配に思っている方はそのイメージを捨て去ってしまっていいと思います。近年のカーボンフレームは製造技術の進歩によって他の金属フレームに劣らない強度と耐久性があるので、交通事故でもあわない限りそうそう壊れたりはしないんです。

TIME VRS fludity
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カーボンフレーム

今やロードバイクのフレーム素材といえばカーボン(炭素繊維を樹脂で固めたもの)が主流。軽量で強度が高く、振動吸収性が高いのが特徴。金属疲労や錆などのリスクもないので長寿命。成型技術の進歩により自由な造形が可能となるので、近年では空気抵抗の低減を考えたエアロダイナミクスな形状も増えている。

cervelo S1
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アルミ合金フレーム

カーボンが登場する以前は軽量で硬い金属であるアルミ合金フレームが全盛であった。今では低価格の完成車のフレーム素材としてのイメージが強いが、スカンジウムなどを配合し、アルミならではの高い剛性のフレームを好むトップライダーもいる。

COLNAGO MASTER
COLNAGO MASTER

スチール合金フレーム

スチールにクロムやモリブデンを配合したクロモリフレームに代表される。カーボンやアルミの登場以前はスチールフレームで、その歴史は長く、今でも愛好者は多い。特徴として、粘り強い金属なので適度なしなりを生かした乗り心地の良さや、なんと言っても細身のシルエットの美しいデザインが魅力だ。耐久性の面でも他の金属素材より若干優位である。

MOOTS VAMOOTS
MOOTS VAMOOTS

その他金属フレーム

その他の材質としてはチタン合金が代表。軽量で腐食に強いが素材として高価なので、一部のマニアに好まれる趣味性の高いものという認識が強い。

他にはマグネシウム合金や木材や竹材を使用したものまである。

サイズ選び

 次に、一番頭を悩ますサイズ選びです。これは難しく考えるよりかは、信頼できるプロショップに全てをお任せしてしまってもいいと思います。2台目以降の購入の場合は今までに乗っていたポジションを参考に細かくサイズを計測しますが、初めての方の場合は体格だけではなく、体力や柔軟性、用途や乗り方によっても変わってくるので経験豊かなスタッフが適正サイズをお勧めします。ご自分でサイズを決めてみたい方はまずフレームの「トップチューブ長(ホリゾンタル換算)」(下図B')を参考にしてください。そして決める前に必ずまたがってみてポジションを確認してください。

トップチューブ長と身長の目安
トップチューブ長と身長の目安

 ほとんどのフレームメーカーはサイズを上図Aのシートチューブ長で表記しているのだが、ここはサイズ選びの参考にはなりません。以前はトップチューブ(上図B)が地面に対して水平(ホリゾンタル)な設計が当たり前だったのでシートチューブ長で比較しても差し支えなかったのですが、近年は上図のようにトップチューブが斜め(スローピング)なのでその角度によってシートチューブの長さが変わってしまうため「トップチューブ長(ホリゾンタル換算)」(上図B')がサイズを比較する上で重要な数値となります。他にも様々な寸法があるが、初めての方は混乱を避けるためトップチューブ長だけを気にすればよいと思います。右図はあくまで目安ですが、身長とフレームのトップチューブ長の相関はだいたいこんな感じになります(色が濃いほど適正に近い、個人差あり)。こちらも参照

お気に入りの1台

CARRERA PHIBRA2
CARRERA PHIBRA2

 最終的に決め手となるのが「見た目のデザイン」です。決して安くない買い物ですし、長く愛着を持つためには「これだ!」と心に訴えかけるようなものを選ぶといいです。趣味として乗るのであればなおさら、「見た目」から入るのも悪くはありません。いくら性能が良くて安いからといって好みでないものを選ぶよりか、「かっこいい!」って思って買ったほうが所有欲も満たされるはずです。いろいろなブランドやモデルがたくさんありますが、カタログなどから好みのものを選んだり、ショップに足を運んで実物をご覧になって自分にベストな1台にめぐり逢ってください。

ロードバイクと一緒にそろえておきたいもの

・ペダル、シューズ

 完成車を購入した場合、ペダルが別売となっていますので必ず必要になります。せっかくのロードバイクですので、ぜひビンディングペダルにチャレンジしてみてください。ビンディングペダルを使うには専用のシューズも必要となります。

・ヘルメット、ウェアー類

 ヘルメットは 命を守るものなので必ず着けましょう。自転車用のウェアーは走行の邪魔にならず、高い防寒性や通気性がありとても機能的です。また、パンツのパッドやグ ローブなどは体の痛みを和らげる効果もあります。格好から入るのも大事です。愛車とのカラーコーディネートなんかでも楽しめます。

・カギ、ワイヤー錠

 盗難防止の必需品です。固定物(ガードレールやフェンスなど)と一緒にかけられる長めの物を用意するといいでしょう。

・ポンプ、工具類

 空気は1~2週間に1回は補充する必要があるので、仏式バルブ対応のゲージ付きフロアポンプは必須です。あとはパンク修理に必要な工具やスペアチューブなど、折りたたみ式の携帯工具セットなどがあると便利です。

・ライト類、スピードメーター

 夜間走行時には必需品です。安全のためにフロント用のヘッドライトとリア用のテールライトをそれぞれ取り付けてください。日中でもトンネル内などではライトが必要になります。スピードメーターはトレーニングにおいて、走行距離やケイデンス・心拍などの情報を確認するのに便利ですのでおすすめします。

text■塚田