フレームサイズを選択する上でフレームのどこを注目するかというと、トップチューブ長(水平換算)<図①>を基準とするのが今までの一般的な常識でした。ところがここ最近、「リーチ」<図②>という寸法がメーカーカタログのジオメトリー表に記載されるようになりました。この「リーチ」とは何ぞや、と思われる方もいるかもしれません。要するにトップチューブ長(水平換算)をBB中心からの垂線で2分割した時の前半部分が「リーチ」にあたります。(メーカーによって異なります)
ではなぜリーチに注目するかというと、ちょっと話は長くなります。ポジションを決定するにはまずサドル位置から決めます。サドルの高さとサドルの前後位置です。このサドルポジションによってペダリングのしやすさが決まるわけですが、BBの位置に対してサドルがどの位置にあるかということです。つまり、トップチューブ長からリーチを差し引いた部分はBBに対してサドル位置のセットバック量ということになります。シートポストのヤグラやサドルのレールによっては、セットバック量に制限を与えてしまう場合もあるかもしれませんが、よほど極端なサドルポジションでなければ調整の範囲内で済むことの方が多いと思います。サドルポジションが決まれば、今度はハンドルポジションを決めるわけですが、そこでこの「リーチ」が登場します。ハンドルの高さはコラムの長さとヘッドチューブ長<図④>で決まります(あとステムの角度とか)。ハンドルの近さは純粋にステムの長さとリーチで決まります(あとハンドルのリーチもありますが)。トップチューブ長(水平換算)の寸法はシートアングルの影響を受けますが、「リーチ」の寸法はそこを切り離してハンドルポジションを選択できるということです。
フレームのサイズが大きくなるとトップチューブ長だけでなく、シートチューブ長やヘッドチューブ長が長くなります。さらに、ほとんどの場合シートアングル <図③>が寝る(角度が小さくなる)傾向にあります。シートアングルが寝ていれば当然トップチューブ長が長くなるわけですが、ものによってはリーチはさほど変化がない場合もあります。ただ単にセットバック量が増えてリーチが変わらないということは、「ハンドルを遠くしたいからサドルを後ろに下げましょう」というセッティングと同じことになります。
さらに、フレームサイズがXS~XLまであっても、リーチの寸法は20~30mmしか差がない場合もあります。身長が160cmくらいの人から190cmくらいの人がこの「20~30mm」の範囲内に収められてしまうのは実に不思議です。身長が高くてハンドルを下げたい場合や前乗り気味のポジションだったりするとリーチが足りずにステムを極端に長くしなければならなくなります。(実際に200mmの特注ステムを使用する選手もいます。)カタログに記載されている数値も、測り方によってメーカーごとに随分と誤差があるのでなかなか鵜呑みにできません。(フレームメーカーの今後の課題ですね。)サイズを比較する上での明確な「ものさし」がないので特に初心者には難しいと思います。<まずはこちらを参考に>
ですので、思い悩んだらプロショップに相談するのが一番手っ取り早い。
乱暴に言ってしまえば、ポジションをミリ単位で気にする人は試行錯誤するしかないし、気にならない人は気にしてもしょうがない。一番重要なのは「楽であること」(苦でないこと)です。そのポジションが楽であるかどうかは数値で決まるものではなく、乗り手の感覚です。その次に重視するものは、自転車を競技としてとらえるか、趣味としてとらえるかで違ってきます。競技であれば「効率」、趣味であれば「見た目」だと思います。ここを掘り下げるとまた話が長くなるので割愛します。
結局なにが言いたいかというと、よくわからなくなってしまいました。ポジションは難しいねってこと。
text■塚田
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