ディスクロードの今後(素朴な疑問18)

koh様からのご質問

 

質問:先日の事故の影響もあり、事実上レースでのディスクロード使用(試用)が禁止されました。メーカー各社の2017年度ラインナップにも影響すると思われますか?

 

 今、HOTな話題ですね。ディスクブレーキの是非に間して以前もご質問

がありましたが、またちょっとちがった内容です。

 

 先日の事故というのは、4月10日にフランスで行われたクラシックレース「パリ~ルーべ」で、集団落車があった際に選手の一人がディスクローターで膝に深い傷を負った事故です。これによって選手会がUCIに対してディスクブレーキの使用中止を求め、UCIがこれに応じる形となりました。

 

 プロレースでの使用が危ぶまれるのであれば、当然メーカーの製品開発にも影響が出ると思われますが果たしてどうなることでしょう。

 メーカーとしては「売れない商品」をわざわざお金をかけて作ったりはしないですし、せっかく作った製品が売れなくなりそうな事態が起きれば、売れる方向に持っていこうとするものです。実際にディスクブレーキのロードバイク(以下ディスクロード)はフォーマットがほぼ完成しており、各メーカーの2017年モデルは既に製造が始まっています。「もう作っちまったから遅いよ」っていう状態です。

 ディスクロードはレース用の機材としてだけでなく、ロングライドやツーリングモデル、近年欧米で人気が高まっている「E-Bike」などに搭載され新たな市場の拡大を狙っています。これらのジャンルにはUCIの規定は関係ありません。ただ、レースでの使用が無いとなればハイエンドモデルは販売し辛くなります。なのでメーカー側はレースでの使用再開へ向けてUCIに働きかけることでしょう。彼らがUCIのスポンサーでもあるわけですし。

 

 UCIではあくまで、ディスクロードのトライアル(試験使用)を一時中断したというだけで、使用禁止したのとは少し違います。使用停止の期間や2017年シーズンの全面解禁についてはまだ言及されていません。

 また選手側もディスクブレーキの安全性だけを問題視しているわけでもないようです。ホイールの固定方法が現在のクイックリリース方式から、ディスクロードだと「Eスルーアクスル」に変更されます。これによってパンク発生時のホイール交換に時間と手間が余計にかかります。パンクで集団から遅れれば、復帰するのに余計な体力を消耗することになりますし、その数秒がレース結果に大きな影響を与えることもよくあることです。さらには、先日の事故も実はディスクローターで怪我をしたのではなく、クランクのチェーンリングで切った怪我ではないかという話もささやかれております。

 結局はメーカーとUCI、プロ選手、そして一般ユーザー、それぞれの利害関係のうまい落しどころを模索して(お金を持っている者が優位に)事態を進めていくのではないでしょうか。

 

答え:2017年モデルのラインアップには影響はほぼ無いと思います。今後もディスクロード解禁の方向へ進んでいくはずです。

 

text■塚田

 

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