ジオメトリーについて(素朴な疑問35)

てんてん様からのご質問

 

質問:ジオメトリーはどのように読めば良いのでしょうか?速く走る自転車、ゆっくりのんびり走る自転車の違いは。

 

 ジオメトリーによる乗り味の違いは、同一素材で寸法だけを変えて作られたフレームを何パターンも比較する必要があります。我々は色々なメーカーのフレームに試乗する機会はありますが、乗り味の違いが寸法によるものなのか素材や形状によるものなのかを判断するのはなかなか難しいです。実際には「ジオメトリーによる乗り味の違い」は理解しているようでわからない部分が多いような気がします。フレームビルダーやメーカーの設計担当者なんかはもっと詳しいノウハウを持っていると思います。一応、私見をもとに説明させていただきます。

 

 クロモリフレームが主流だった頃はフレームサイズは1cm刻みで細かく選べましたが、今のフレーム大雑把に4サイズくらいしかない場合が多いです。さらに、メーカーや車種ごとの(ジオメトリーによる)特徴が少なくなってきているので、いわゆる「クセのある」フレーム設計が減少傾向にあります。ですので現状ではジオメトリーは体格やポジションに合ったフレームサイズを選ぶ上での数値として、ヘッドチューブ長やトップチューブ長(リーチ)くらいしか注目されていないような気がします。

 

 ジオメトリーの寸法は、ポジションにかかわる部分乗り味にかかわる部分に分けられます。ポジションにかかわる部分は前述したヘッドチューブ長やトップチューブ長、シートチューブ長、シートアングルなどです。乗り味にかかわる部分はヘッド角、トレール長、ハンガー下がり、リアセンター長などがあります。

 

 ポジションを決める上で重視するポイントは、調整によってカバーしにくい部分から決めていくことです。ポジションを決める主な要素として、サドルの高さ・ハンドルの高さ・ハンドルのリーチがあります。この中で調整可能範囲が最も狭いのがおそらく「ハンドルの高さ」なので、それに対応するヘッドチューブ長がフレームサイズを決める上で重要になります。「サドルの高さ」は一番調整可能範囲が広いので、そこに対応するシートチューブ長は重要度が低くなります。しかし、数年前にはよく見られたフレームとシートポストが一体になった「インテグラルシートポスト」のフレームはサドルの高さの調整範囲が狭かったため、ジオメトリーのシートチューブ長を重視してフレームサイズを選択することもありました。

 

 乗り味にかかわる部分は主に「ヘッド~フォーク」と「ハンガー~チェーンステー」の2ヵ所に注目します。ヘッド角やトレール長、フォークオフセットなどはハンドリング性能や直進安定性にかかわってきます。中でも「トレール長」が要素として大きいです。ヘッド角が小さくなれば(ヘッドが寝る)、トレール長は長くなり、フォークオフセットが大きくなれば、トレール長は短くなります。トレール長は長いほうが直進安定性が高くハンドリングはマイルド(アンダーステア気味)です。トレール長が短いとクイックなハンドリングになります。

 ハンガー下がりやリアセンター長は踏み込んだときの反応性に影響を及ぼします。ハンガー下がりが小さくリアセンター長が短いと踏み込みに対する反応性が増します。ハンガー下がりが大きいと重心が下がって安定感はありますが反応性は穏やかになります。

 

 実際のところはフレームを寸法指定でフルオーダーする場合以外はあまり細かいことは気にする必要がないのかもしれません。というのも、乗り味にかかわるトレール長やハンガー下がりなどは、フレームサイズが違っても同じモデルなら同じ数値になっている場合が多いです。違うモデル同士でジオメトリーを比較しても素材や形状が違うので、冒頭で述べたように乗り味の単純比較はできませんが、レーシングモデルは「反応性重視」、エンデュランスモデルは「安定性重視」の設計にちゃんとなっているのがわかります。

 

答え:ジオメトリーは奥が深いですね。注目するポイントを絞ればわかりやすくなるのではないでしょうか。

 

text■塚田

 

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コメント: 2
  • #1

    てんてん (金曜日, 20 4月 2018 22:40)

    塚田様
    ご回答ありがとうございました。
    私、巡行速度35km/hを目指しております。体力以外の自転車寸法で今の自転車でそれが可能か知りたかったのでお問い合わせしました。自転車を変える予定は無いので、フィッティングを受けてみようと思います。

  • #2

    サガミサイクル塚田 (土曜日, 21 4月 2018 15:36)

    てんてん様
    ご質問ありがとうございました。
    巡航速度を上げたいということでしたら、自転車の寸法をいじくるだけで解決するものではないと思います。①ペダリング、②乗車フォーム、③ポジションの順番で見直してみるてはいかがでしょうか。