完成車が店頭に並ぶまで

 メーカーから完成車が届きました。たいていの場合このような大きなダンボール箱に入っていて、開梱後に組立てが必要になります。

 箱の中にはハンドルとサドルとフロントホイールが外された状態で梱包されています。一度組みあがった自転車も同じようにハンドルとサドルとフロントホイールを外してうまいことやれば、再び箱の中に収めることができます。自転車を輸送するときにこの箱が使えるので、たまに「自転車の箱下さい」っていわれることもあります。余っている箱があれば、うちでお買い物してくれたお客さんには差し上げています。

 

 梱包されている緩衝材を取り外して分別して処分するのですが、自転車が大量に入荷した場合なんかはこの作業が意外と手間がかかります。ゴミの量も発砲ウレタンなんかで結構かさばるのでゴミ袋がすぐにパンパンになってしまいます。真ん中の画像は自転車1台分のゴミの量です。これに加えてあの馬鹿でかい箱も処分しなくてはいけません。

 

 まずホイールのふれやスポークテンションのチェックをします。スポークテンションは最初から緩い場合がほとんどなので増し締めが必要です。

 基本的にメーカー工場での組み付けの精度は信用してはいけません。いったん分解してからの増し締めや必要に応じてグリスアップをします。

 

 だいたい形になりました。あとはワイヤーを張ってバーテープを巻けば完了です。梱包時点でワイヤーがはじめから張ってある完成車メーカーもありますが、やり直さなくてはいけない場合に二度手間になるのでかえって面倒です。余計なことはしないでくれたほうがありがたい。

 

 ワイヤーの長さはこれくらいが適正です。最初からワイヤーが張ってある完成車は十中八九、長すぎます。

 これで一旦店頭に並ぶわけですが、お買い上げいただいた時にも全体的な調整や締め付けのチェックを再度行うことで、完璧な状態で納車できるように心がけています。

 それでも乗ればワイヤーは伸びるしネジも緩むので、定期的なメンテナンスが重要です。しっかりと手間をかけたほうが部品が長持ちするのは間違いないので、「綺麗な状態を保つ」ということだけでもご自身でやっていただけると自転車のために良いと思います。

 

text■塚田