デュラエース9000とR9100（素朴な疑問２７）

ひさしぶりの素朴な疑問です

中年A様からのご質問

質問：新しいデュラエースは具体的にどこが良くなっていますか？9000系を使用しているのですがグレードアップする価値はありますか？

　これは店頭でもお客様からよく聞かれる質問です。正直に言えば7900から9000に変わったときに比べて今回のモデルチェンジはインパクトに欠けます。11速のままですし。7800から7900に変わったときも10速のままでしたが、新しいほうが評判悪かったです。果たして今回のモデルチェンジはどうなっているのでしょうか。

　まずは見た目。新しいR9100の方が評判悪いです。高級感は9000に軍配が挙がるように思ます。でもこれはモデルチェンジする度に毎回言われることだし、好みの問題だからやんわりとスルーしておきましょう。

　次にわかりやすいところで重量を比較してみます。まずは機械式コンポから。

　機械式コンポの方は軽量化どころか、R9100の方がトータルで20g重くなる計算になります。

　ブレーキキャリパーは29g増となりますが、その分制動力に必要な剛性が大幅にアップしているので、保安部品としては安心を買うということになります。もちろん、BR-9000で制動力に不安が感じられないのであればブレーキキャリパーはそのままでもいいでしょう。

　フロントディレーラーは調整機能がついて組みやすくなったのにもかかわらず、わずかながら軽量化を果たしています。

　リアディレーラーやクランクは見た目では新しいほうが重そうに見えますが、辛うじて現状維持したところに企業努力を感じますね。

　一方でDi2の方は全て軽量化に成功しています。ジャンクションやバッテリー類は継続品となるので、今後はこの辺りの仕様変更を期待したいですね。

　UCI規定での「6.8kgルール」がある以上、軽量化というのはもうあまり問題ではないのかもしれません。今までの重量でいかに部品の精度や強度を高めていくかというのが目指すところなのかもしれません。でも、UCIと関係がない多くのホビーライダーは数字で比較しやすい重量が軽い方がうれしいですよね。

　今回のモデルチェンジでの主な改良点は、①ブレーキの剛性アップ、②クランクの剛性アップ、③カセット最大30Tに対応、④リアディレーラーのシャドー化、⑤フロントディレーラーの最適化、といったところでしょうか。他にも細かい改良点はたくさんありますが、以上5点がわかりやすいところではないでしょうか。

　ちなみにDi2ではシンクロシフトという機能が新たに加わりましたが、新型バッテリーとファームウェアのアップデートで9070Di2でも出来るようになります。

　新しいデュラエースの機械式も電動も既に十数台組みましたが、組んでみた印象はやっぱり新しいほうが良いです。「組やすさ」という点では機械式のディレーラーの組み付け方法が変更したことで狙い通りに調整しやすくはなりました。しかしそれによって作業時間が大幅に短縮できるかといえばそんなことはありません。組んでみて、部品を触ってみて、調整してみて、感じ取れる情報はいろいろとあります。何百・何千台も組んでいれば、部品の良し悪しもいろいろとわかってきます。そういった意味でこの新しいデュラエースは製品としてよく出来ていると感じられます。

　それに、今回のモデルチェンジでは珍しく前モデルとの互換性を持たせて（※一部を除く）（シマノはモデルチェンジするたびに今までのユーザーを切り捨てる印象が・・）あるので、必要なパーツだけグレードアップするという選択肢もあります。

　そして今語るには早すぎますが、次のアップグレードではさすがに11速のままということはないのではないかと思わずにはいられますまい（どっち？）。そうなると、今のフレームやホイールがもう使えないという可能性が出てきます。逆に考えるとこのR9100系が今のフレーム・ホイールで使えるデュラエースの最終形態なのかもしれません（あくまで推測ですが）。アルテグラもそろそろモデルチェンジ（R8000系？）すると思います。秋までにはには発表されるでしょう。

答え：見た目が嫌いでなければグレードアップしても損はないと思います。9000メカ式→R9150Di2のグレードアップなら大いにメリットはあると思いますよ。

text■塚田

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