ドロップハンドルとVブレーキ

クロスバイクのドロップハンドル化やカンチブレーキのVブレーキ化などで避けて通れないのがレバーとキャリパーの相性問題です。

 

特に注意が必要なのがSTIレバーとVブレーキの組み合わせです。

この組み合わせでは、レバーを握り込んでもVブレーキがあまり動きません。必然的にブレーキシューとリムが非常に近接したセッティグが必要になると思います。ただしこの状態ではレバーを握り込んだ以上に制動力が立ち上がる場合が多くスピードコントロールがしずらくなります。またホイールが少しでも振れるとブレーキシューに当たってしまうのでホイールの振れをきちんと管理することが必要になります。このためシマノではこの組み合わせを禁止しています。ですがなんとか使えるセッティングを考察してみたいと思います。もちろんメーカーでは禁止している組み合わせですので実践される方は自己責任でお願いします。

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なぜ上記の不具合現象が発生するかというと、ブレーキワイヤーの巻き取り量がSTIレバーは少ないからです。大雑把に言うとロードブレーキキャリパーはワイヤーの巻き取り量が少なくても動くようになっています(というかSTIレバーの巻き取り量と巻き取りトルクに合わせて最適なブレーキ力とレスポンスが得られるように設計されています)。これに対してVブレーキキャリパーは多くのワイヤー巻き取り量が必要となります。レバー側も握った量に対してより多くワイヤーを巻き取るように設計されています(少なく巻き取るように変更可能なものもあります)。

ここで重要なのは一般的にレバーの巻き取り量が多いレバー(Vブレーキ用レバー)はワイヤーを引っ張る力(巻き取りトルク)が小さくなるということです。つまりブレーキシューがリムに当たるまでは速いけれど、そこから強く握り込んでもブレーキ力が思ったほど上がりません。逆にワイヤーの巻き取り量が少ないレバー(STIレバー)はブレーキシューがリムに当たるまでは遅いですが握り込むと大きなブレーキ力が得られます。

 

さて、どのようにワイヤーの巻き取り量を変えているのでしょうか?

これはレバーの回転軸とワイヤーの固定位置が関係しています。

下図はワイヤーの固定位置が変更可能なレバーです(BL-R780等)

巻き取り量が多いセッティング(Vブレーキ用)回転軸から遠い
巻き取り量が多いセッティング(Vブレーキ用)回転軸から遠い
巻き取り量が少ないセッティング(ロードブレーキキャリパー用)回転軸から近い
巻き取り量が少ないセッティング(ロードブレーキキャリパー用)回転軸から近い

レバーの回転軸とワイヤーの固定位置の関係は下記となってます。

遠い=ワイヤーの巻き取り量が多い、速い(巻き取りトルク小)

近い=ワイヤーの巻き取り量が少ない、遅い(巻き取りトルク大)

STIレバーはレバーの回転軸とワイヤーの固定位置が近く、変更ができません。

 

今度はブレーキキャリパー側から見てみると…。

Vブレーキはアームが長いブレーキと短いブレーキがあります。

アームが長いキャリパー(BR-T670)107mm
アームが長いキャリパー(BR-T670)107mm
アームが短いキャリパー(BR-R573)90mm
アームが短いキャリパー(BR-R573)90mm

ブレーキキャリパーは回転軸(ピボット)とワイヤーの固定位置は下記の関係となります(同じレバーで引く&ブレーキシューの固定位置が変わらない場合)。

遠い=巻き取り量が多く必要(レスポンスが遅い、ブレーキ力が強い)

近い=巻き取り量が少なくてもOK(レスポンスが良い、ブレーキ力が弱い)

 

ちなみにブレーキシューは回転軸に近い位置(つまり地面近い)のほうがシューの動作角度は少ない(シューの動作レスポンスが悪い)がブレーキ力は強くなります。またシューの位置が回転軸から遠い(地面から遠い)場合は逆になります。

 

このことからSTIレバーでVブレーキを引く場合は以下のようなセッティングが有効といえます。

・レバーのワイヤー巻き取り量を多くする

STIレバーのワイヤー巻き取り量は7900デュラエース以降からNewスーパーSLRというワイヤーの巻き取り量が若干増えた規格に変更されています。可能であればこちらのレバーを使うとレスポンスの面では有利です。またサードパーティから巻き取り量を増やすvブレーキ用ローラーがリリースされています。これを使用するとワイヤーの巻き取り量が実質アップしますが欠点としては見た目が悪くなるのとワイヤーの引きが重くなることでしょうか(これを使用する場合はアームが長いキャリパーのほうが適合します)。

 

・Vブレーキのレスポンスを上げる

アームが短いキャリパーを使用します。シマノではBR-R353BR-R573となります。サードパーティではミニVブレーキとしてシマノSTIへの対応を謳った商品もあります。

またブレーキシューの取り付け位置を回転軸からできるだけ離す。もちろんリムの位置より上にはセッテイングできないので出来るだけ高い位置にシューを固定して斜め下向きにシューを向けるという小ワザも結構効きます(ミリ単位での追い込みですね)。

 

さらに…

・ブレーキアジャスターを付ける

Vブレーキにはワイヤーアジャスターがありませんのでリムとシューが近接したセッテイングの場合はホイールを外す際のワイヤーの解除が困難となります。もちろん微妙なワイヤー調整も難しくなるのでブレーキアジャスターが必須となります。シマノではSM-CB90、SM-CB70という商品があります。アジャスター付きのバナナに交換するかアジャスター付きの補助ブレーキレバーを増設するのも手です。

 

私が実践した限り(旧スーパーSLR+BR-R573とNewスーパーSLR+BR-R353)ではブレーキタッチと制動力はロードキャリパーには及ばないかな?という感じですがそこそこ使えるという印象です(もちろん、この組み合わせよりも効かないロードキャリパーもありますが…)。もし実践される場合は安全第一でよろしくお願いしますね。

 

text■奥田

 

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コメント: 2
  • #1

    Brianna Gibby (木曜日, 02 2月 2017 22:00)


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    Kip Stockton (木曜日, 02 2月 2017 22:08)


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