ここ最近、ロードバイクのタイヤサイズが太めになりつつあります。まだ記憶に新しい今年のツール・ド・フランスなんかでも多くのプロが25Cサイズを使用していました。選手たちはスポンサーの都合で使用できる機材のメーカーに制限はありますが、そのメーカー内での種類やサイズなどはある程度自由に選択できるので、彼らが25Cサイズを使用しているということは、自ら好んでチョイスしているということになります。
サイズが太くなれば重量は増えてしまいますが、エアボリュームの増大による乗り心地の良さと、グリップの向上が望めます。これはなんとなくわかります。200kmほどの距離を雨の日も路面の悪いところも高速で走りぬける選手たちのとっては、重量を犠牲にしてまでも乗り心地とグリップは重要だといえます。
そしてポイントとなるのが「転がり抵抗」のちがいです。昔は細いタイヤの方が路面の接地面積が小さいから転がり抵抗も小さいと思われていました。ところが最近のデータによると「同じ空気圧で同じ重量がかかる場合は太いタイヤの方が転がり抵抗が小さい」というのです。加重がかかることでタイヤが変形し、弾性損失によるエネルギーロスが生じるのですが、同じ条件だと太いタイヤの方が進行方向に対する変形量が少なくなるので、より少ない駆動ロスで大きな推進力が得られるのだそうです。
ここまでのウンチクは皆さんも聞き覚えがあるかもしれません。ここで疑問となるのが「同じ空気圧」という条件です。多くの場合、太いタイヤの方が推奨気圧が低めに設定されています。タイヤを太くしても空気圧を下げれば転がり抵抗は大きくなってしまいます。ということは、同じ太さでも空気圧を上げれば転がり抵抗は少なくなるということです。確かにそうだ。しかし、空気圧を上げることで路面の凹凸に跳ねやすくなり、乗り心地とトラクションが失われます。結局のところ、何かを得るためには何かを失うのであり(良い機材を得るにはお金を失う)、バランスが肝心ということです。25Cタイヤが流行っているのは、この太さと空気圧のバランスが多くの選手の好みにフィットしたということなのでしょう。
また、近年のホイールの「ワイドリム化」も見逃せません。太いリム幅は空気抵抗のを少なくするために各ホイールメーカーが研究開発を重ねた結果たどり着いたもので、リムが太くなるのに合わせて太いタイヤが主流になってきた感じはあります。「ワイドリムありき」で太めのタイヤが誕生し、使ってみたら悪くない、ってことで広まったといったところでしょうか。
今のところ、主要タイヤメーカーのラインアップを見るとクリンチャーもチューブラーも23Cをメインとしているところがほとんどですが、今後は間違いなく25Cサイズのバリエーションが増えてくると思います。
さらに、ディスクブレーキがUCIに認可されるようになると、ブレーキキャリパーとのクリアランスを考えなくて良くなるので28Cとかが主流となってくるのでしょうか。まだなんともいえませんね。
当店でも「25Cブーム」にのっかって、人気タイヤブランド各モデルで25cサイズの在庫を用意しています。クリンチャーもチューブラーもありますので、まずはご自身で試してみるのが一番です。
私個人も実は25Cタイヤに興味があり、最近履き替えたチューブラータイヤも25Cにしてみたのですが、使ってみた感想はまた次の機会に。
text■塚田
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