TIME初の完成車

TIME FIRST メーカー価格¥298200
TIME FIRST メーカー価格¥298200

 いつかは乗りたい、憧れの高級ブランドとして名高い「TIME」。そのTIMEから初となる完成車が登場しました。その名も「FIRST」。価格帯を下げた完成車モデルとは言っても、フレームはカーボンの繊維を編む工程から塗装まで自社工場で生産されるフルカーボン製です。コストを下げるために外注でOEM生産されるブランドが多い中で、TIMEは高級ブランドとしての誇りが高い。デザインやカラーリングはいささかシンプルすぎて地味な印象がありますが、フレームの造形を見ればそれがTIMEのフレームであることは間違いないし、あえて派手にしないことで「質」で勝負することのアピールとも受け取れます。

 BB規格はプレスフィットを採用。ガチガチになりすぎず、踏み込めば適度なしなりがマイルドな乗り心地を演出します。

 ヘッドパーツはTIME独自の規格を採用。ヘッドチューブが長めなのでアップライドポジションが可能です。位置づけとしてはロングライド向きのコンフォートモデルではありますが、TIMEらしい安定感があるので路面の悪い下りも安心して走れます。

 試乗した印象は、TIMEの上級モデルの乗り味に通じる、「これぞTIME!」といったフィーリングを受け継いでいると言えます。振動が少ないので乗り心地が良く、踏めば適度なしなりによる反発が心地よい加速につながります。絶対的な剛性やフレーム重量はどうしても上位モデルには及ばないので、シリアスレーサーにとっては物足りなさを感じるかもしれませんが、ツーリングやロングライドはもちろん、ホビーレースくらいなら十分すぎるほどの高性能だと思います。

 パーツアッセンブルはコストを抑えるために「シマノ105」を採用していますが、バランス的にも特に不満は感じられません。将来的にアルテグラやデュラエースにグレードアップすれば、よりこのフレームの良さが引き出されるかもしれません。ホイールもシマノのWH-RS21。廉価モデルのWH-R501ではないところが好印象です。

 なかなか手が出ない高級ブランドTIMEのロードバイクが完成車で30万円を切るのであれば、これは現実的な選択肢として所有欲に火がつきそうです。

 

text■塚田