ラグにこだわる

 今となってはカーボンフレームは「モノコック構造」が主流となっているため、ラグでパイプを繋いだカーボンフレームは希少になりつつある。

 歴史をさかのぼれば、クロモリフレームがまだ全盛だった1993年に登場したコルナゴの「C40」が、カーボンラグを使用したフルカーボンフレームとして多大な影響をもたらした名車として名高い。その後もLOOKの「586」やTIMEの「VXRS ULTEAM」など、名車と呼ばれるフレームの中でカーボンラグのフレームは大きな存在感がある。

 ラグを使用するメリットは、繋ぐパイプの長さや角度を細かく設定できるので、ライダーの要望に応じたジオメトリー設計ができるという点である。そして、クロモリフレームの時代から受け継がれる伝統的な製法によるため、色褪せることのない美しい造形美を好むファンも多い。それでも現在のモノコック製法が主流となってきたのは、より軽量でエアロダイナミクスな形状と剛性バランスの設計が技術の進歩により可能になったからである。

 上位モデルにモノコックフレームが増えていく中、アンカーの「RMZ」のようにカーボンフレームのフルサイズオーダーを可能にするためにあえてカーボンラグ製法を新しく取り入れたモデルもあるし、TIMEの「RXRS ULTEAM」やコルナゴの「C59」などのトップモデルもラグのフレームとして第一線で活躍している。今後も「名車にカーボンラグフレーム」あり、と存続して欲しいものです。

 

text■塚田